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書評 —内山 靖(総編集)/網本 和・臼田 滋・高橋哲也・淵岡 聡・間瀬教史(編)—「今日の理学療法指針」
居村 茂幸
1,2
1茨城県立医療大
2植草学園大
pp.1046
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200386
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わが国に理学療法士が誕生して,今年で50年の節目を迎えた.理学療法士養成教育については,その誕生2年前より始まっていたが,当時は専門分野の日本語教育書が皆無で,教師として世界理学療法連盟から派遣された外人教師が持ち込んだ英語のプリントのみであった.ただ記憶をたどると,この理学療法士誕生に前後して,必読書として理学療法・臨床医学・基礎医学編からなる3冊の『理学療法・作業療法教本』(天児民和編,医歯薬出版)が出版されている.この3冊を完全マスターしておけば国家試験も万全という,いわば,当時の理学療法士にとって最低限理解しなければならない知識と技術を網羅したスタンダード版であったと言える.
現在,理学療法士の総数は約13万人に達し,かつ対応している分野も当初とは比較できないほど領域広く,また深くもなっている.これに伴い,各領域に精通した理学療法士によって,優れた学術書も数多く発刊されているが,ある分野ではあまりに多く,また興味が深すぎ,加えて医学書の体裁,つまり治療医学の切り口で執筆されていることも多く,われわれが主として扱う障害を中心とした医学について,病態から始まればよい理学療法のあり方が希薄になっている感もあって,理学療法臨床場面での実践書としてはいささか歯がゆい感が強かった.
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