特集 脳機能回復と理学療法
脳機能回復理論と治療選択
原 寛美
1
,
三溝 祐太
2
,
島本 祐輔
2
Hiroyoshi Hara
1
1桔梗ヶ原病院高次脳機能リハビリテーションセンター
2桔梗ヶ原病院リハビリテーション部
キーワード:
Stage理論
,
TMS
,
ボツリヌス療法
,
可塑性
,
装具療法
Keyword:
Stage理論
,
TMS
,
ボツリヌス療法
,
可塑性
,
装具療法
pp.779-786
発行日 2015年9月15日
Published Date 2015/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200311
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はじめに
脳卒中リハビリテーションにおいて,脳卒中により生じた運動麻痺と歩行機能の改善は理学療法の重要な目標である.急性期・回復期を経て歩行の自立を獲得するケースは多くみられる.その過程において装具や杖などの歩行補助具の活用は極めて重要である.
近年,さまざまな脳科学理論に基づいたアプローチや,痙縮に対するボツリヌス治療,経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation:TMS)などの治療戦略も臨床場面では活用が開始されている.従来のリハビリテーションは末梢からの刺激入力を図ることで中枢の可塑的変化を期待するボトムアップの手法であった.しかしTMSによる中枢の刺激はトップダウンによる中枢制御の方法論と言える.またボツリヌス治療による中枢性効果も明らかにされてきている.
これらを適切な時期に実施していくことで,固定概念であった“補装具を使ってでも歩ければいい”ではなく,“補装具を使用しない歩行の獲得”や,より高い歩行の最適化を目標にするなど,今までより高い水準を目標とする時期がきているのではないだろうか.
本稿では,Swayneら1)による運動麻痺回復のためのステージ理論に依拠したリハビリテーションの介入,TMS,ボツリヌス治療などの新たな治療選択を踏まえた理学療法について述べる.
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