特集 慢性期の理学療法—目標設定と治療・介入効果
慢性呼吸器・循環器疾患患者に対する目標設定と治療・介入効果—理学療法管理と急性増悪の予防・対応
田畑 稔
1
Minoru Tabata
1
1豊橋創造大学保健医療学部理学療法学科
キーワード:
慢性期疾患管理
,
診療ガイドライン
,
理学療法管理目標
,
理学療法介入効果
Keyword:
慢性期疾患管理
,
診療ガイドライン
,
理学療法管理目標
,
理学療法介入効果
pp.609-620
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200259
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はじめに
呼吸器,循環器疾患を発症し急性期あるいは回復期の理学療法を行い退院した後,通所や在宅の場で慢性期の理学療法を継続することは少ないと思われる.しかし,2004年に行われた疫学調査によると,慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)の治療を受けている患者数はすでに22.3万人おり,COPDの推定患者数は530万人以上に上るとされた1).また循環器疾患患者数も,2035年ごろに慢性心不全患者が130万人程度に達すると予測する報告2)があり,今後,急性期・回復期から慢性期へより早い段階で理学療法の病期が移行しつつ慢性期の包括的な疾患管理プログラムとともにADLや生活機能へ軸を据えた理学療法が展開されるものと推測する.
呼吸器,循環器疾患に対する理学療法は,主に急性期を中心に実施されているが,今後,本邦の人口や疾患構造の変化に伴い,慢性期の呼吸器,循環器疾患患者に対する理学療法の需要が増加すると考えられる.そこで本稿では,診療ガイドラインを参考に,慢性期の疾患管理や理学療法の目標設定と治療・介入効果について概説する.本文中のエビデンスのレベルについては表1に示す.
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