書評
—マリー・ダナヒー,マギー・ニコル,ケイト・デヴィッドソン(編)/菊池安希子(監訳)/網本 和,大嶋伸雄(訳者代表)—「臨床が変わる! PT・OTのための認知行動療法入門」
仙波 浩幸
1
1豊橋創造大学保健医療学部理学療法学科
pp.274
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200159
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認知行動療法は心理職や精神科医による介入から,チームにより展開し提供する新たな段階に突入した.理学療法士や作業療法士は臨床においてそれぞれの専門性を発揮し治療を進めるが,それぞれの専門領域に認知行動療法の理論を取り入れることで治療効果をさらに高め,エビデンスを確立し,それを多職種連携で統合的に展開していくというものである.それは認知行動療法士になるのではなく,各専門職の実践に認知行動療法の理論を理解し治療実践に積極的に活かしてくださいという提言である.
これは精神心理領域における,理学療法士と作業療法士の治療参加への期待が大きく,患者中心の医療を実現するためには理学療法と作業療法とのコラボレーションが不可欠というメッセージであると受け止めた.治療において身体障害,精神障害,社会的側面,患者本人の主体的参加のいずれかが欠けても最良の結果を残すことができない.このメッセージはイギリスで発せられ,すでに6年が経過している.
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