特集 姿勢と歩行—理学療法士の診るべきこと
姿勢と歩行を関連づけた評価
原田 和宏
1
Kazuhiro Harada
1
1吉備国際大学大学院保健科学研究科
キーワード:
歩行動態
,
姿勢
,
評価
,
多要因
,
生活機能予後
Keyword:
歩行動態
,
姿勢
,
評価
,
多要因
,
生活機能予後
pp.15-20
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200087
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
歩行の評価は19世紀後半より姿勢と四肢の運動形態の連続的変化の計測が行われ,20世紀に入り力学的側面の解析に移った1).今では,歩行は高度に自動化された運動で個体間の差が少ない定型的な運動ということに加え,関節構造のほかに姿勢制御といった中枢神経を含む多くの機能的要素が関与している運動として解析されている.一方で,歩行動態は高齢社会となった現在では臨床的な関心事である転倒発生との関係性のなかで多面的な解明も進んでいる.たとえ生活機能が高い高齢者であっても,歩行動態は加齢による末梢および中枢システムの機能低下の影響を受け(図1)2),軽度な機能障害が重なることで転倒などの歩行障害に至るとされる.このことは私たちに何のメッセージを投げかけてくれているのだろうか.
他方,姿勢(立位姿勢)の評価は,形態的側面と姿勢保持や変化を制御する機能的側面がある.理学療法では姿勢制御の側面に着目することが多く,それについては歩行と強く連動しているが,姿勢の形態的な側面についてはどう理解すればよいのだろうか.
本稿では,歩行が幾多の機能的要素を含む統合された動態であることを前提として,立位姿勢も歩行動態に関与していることを示すと同時に,病態別・関節機能別ではない歩行動態の臨床評価の視点を説明する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.