特集 姿勢と歩行—理学療法士の診るべきこと
生理的変化か異常か適応か? 各病態における姿勢と歩行の解釈
1.高齢者の姿勢と歩行
太田 進
1
,
藤田 玲美
1
,
小島 彰子
2
,
鳥居 善哉
3
Susumu Ota
1
1星城大学リハビリテーション学部理学療法学専攻
2有心会はしら整形リハビリクリニック
3整友会豊橋整形外科向山クリニック
キーワード:
高齢者
,
姿勢
,
頭部前方偏位
,
円背
,
歩行
,
呼吸機能
,
外部膝関節内反モーメント
Keyword:
高齢者
,
姿勢
,
頭部前方偏位
,
円背
,
歩行
,
呼吸機能
,
外部膝関節内反モーメント
pp.21-28
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200088
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はじめに
高齢者の姿勢変化は全身に及び,臨床上,円背,骨盤後傾,膝関節屈曲が観察される.円背に関しては運動機能・転倒リスク1)との関連が報告されており,特に女性においてその傾向が強いと述べられている2).また,呼吸機能3),生命予後4),QOL5)と関連する報告が多くなされている.
高齢者を対象とした姿勢の研究では,参加する高齢者の運動機能がかなり良く,運動習慣のある高齢者を対象としていることが多い1,2).ボランティアバイアスがかかっていない高齢者(平均的に運動機能が低下している地域高齢者など)でないため,一般化するうえで対象者は運動機能が比較的良いと考慮する必要がある.対象者のリクルートの問題より,ボランティアバイアスがあまりかかっていない高齢者を対象とし,全身姿勢を評価した報告は少ない.
本稿では,デイサービス利用者を対象とした全身姿勢の各体節間の関連とそれらと歩行機能の関連を検討した研究を中心に紹介する6).また,高齢者の姿勢の特徴として頭部前方偏位があり,頭部前方偏位と頸部伸展筋力,姿勢と呼吸機能,変形性膝関節症の歩行についても,姿勢と歩行の関連という視点で言及する.なお,姿勢の変化が大きいとされている女性を対象とした研究を主にまとめた.
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