新たな50年に向けて いま伝えたいこと・第5回
望月圭一
pp.773-777
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106735
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私が中学生のときに父が入院しました.その病院に,労災や交通事故による外傷の患者さんを対象に整形外科的な運動療法を行っている人がいて,「何かいいな」と思ったのがこの道に進むきっかけです.その方に「あなたのような仕事をするには,どうすればいいですか」と尋ねたところ,「一番多いのは,マッサージ師や鍼灸師の資格を持って病院に勤めている方だと思います」と言われました.偶然にも親戚に鍼灸・マッサージ師がいて,穏やかな印象があり,ああいう人になりたいなと思ったのと,父の具合が悪く早く手に職をつけて社会に出たいという気持ちもあり,マッサージ師の専門学校に進みました.
その後,就職した太田総合病院には,当時としては珍しく,整形外科医が常勤していました.そして,東大整形外科の浜田三郎先生が顧問として指導に来られていた関係で,東大病院の理療師であった矢郷弥太郎先生が,東大整形外科理療室での1,2年の研修を終えた若い理療師の指導にあたっていました.そのころは,鍼灸師・マッサージ師などが大学病院の理療室で無給研修生として数年間治療の手伝いをしながら勉強し,教室の医師が関連病院に派遣されるときに一緒に派遣される場合が多かったのです.私はちょうど整形外科医が増え,理療師数が足りない状況下に卒業し,大学病院での研修を受けることなく就職したものですから,皆さんに一から教わりながら臨床経験を積みました.
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