特集 慢性腎臓病と理学療法
腎臓疾患患者に対する理学療法の実際
3.血液透析患者に対する透析治療中に行う理学療法
河野 健一
1
,
西田 裕介
2
Kenichi Kono
1
1愛知医療学院短期大学リハビリテーション学科理学療法学専攻
2聖隷クリストファー大学大学院リハビリテーション科学研究科
キーワード:
血液透析
,
理学療法
,
骨格筋
,
運動
,
栄養
Keyword:
血液透析
,
理学療法
,
骨格筋
,
運動
,
栄養
pp.719-728
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106721
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はじめに
慢性透析患者は国民の400人に1人の割合を超え1),理学療法士が血液透析患者を治療対象とする機会は今後も増加し続けるであろう.神経系疾患,運動器疾患,呼吸器疾患,心大血管疾患などいかなる対象を専門とする理学療法士であろうと,血液透析患者に対して理学療法を実施する機会はあるため,「私は内部障害が苦手,腎臓については国家試験以降勉強していないからよくわからない.透析って何?」という無責任な状況に陥らないような対処が必要である.
では,次の症例に対してどのような理学療法を展開すればよいのだろうか.
「73歳の男性.糸球体腎炎を原因疾患とする末期腎不全で血液透析歴25年.透析日は透析後に理学療法の実施を試みるが,倦怠感や低血圧にて十分に実施できていない.歩行は自立しているものの,疲労の訴えが強く長距離歩行が困難である.現病歴は,2014年○月○日,転倒にて右大腿部頸部骨折を受傷し,翌日,右大腿骨人工骨頭置換術を施行する.術後14病日に透析設備のある回復期B病院に転院し,術後20病日(本日),理学療法プログラムを再検討する」
われわれは,この症例に対する「透析日」の理学療法プログラムとして,「血液透析治療中のレジスタンストレーニングと栄養指導」を提案する.本稿ではその理由について,入院透析患者に多くかかわっている理学療法士A氏から筆者が実際に受けた質問をもとに,「対話形式」にて臨床推論を進める際に必要な根拠を示しながら解説する.
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