特集 股関節の運動機能と評価方法
変形性股関節症の理学療法の工夫
治療方針と理学療法評価法・治療の一視点
奥村 晃司
1
,
加藤 浩
2
,
羽田 清貴
1,2
,
深井 健司
1
,
永芳 郁文
3
,
川嶌 眞人
3
Koji Okumura
1
1社会医療法人玄真堂川嶌整形外科病院リハビリテーション科
2九州看護福祉大学大学院看護福祉学研究科健康支援科学専攻
3社会医療法人玄真堂川嶌整形外科病院
キーワード:
治療方針
,
股関節運動パターン
,
運動方向
Keyword:
治療方針
,
股関節運動パターン
,
運動方向
pp.615-623
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106690
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はじめに
変形性股関節症(以下,股関節症)に対する治療を展開していくうえで,治療指針は患者にとって重要な道標となる.股関節症は慢性進行性疾患であり,病態形成の過程においては患者ごとにさまざまな要因が存在し,病期による症状も一様ではない.このため,医師と連携し治療の一端を担う理学療法士は,病態の把握に加え,機能・能力障害についての情報分析を行い,治療方針の方向性に関与する重要な役割を担う.しかしながら股関節症の病態,症状出現は個々の患者によりさまざまであることからも,明確な評価と治療方法の確立が難しい現状にあるのも事実である.また,股関節は多軸関節という特性から,股関節運動を単一面でのみ評価する視点だけでは股関節運動を捉えることが難しいこと,さらに股関節症の病態は進行に伴い股関節運動の制限のみならず,隣接関節にも影響を及ぼすことからも,単純に股関節運動の改善や目的動作の繰り返しを図るだけでは,患者の満足する動作改善には直結しないことも要因の一つになっていると考える.
当院では股関節症に対する治療方針を決定する際,医師と理学療法士の迅速な情報交換と連携により,チーム医療として個々の患者の症状に応じた治療に取り組んでいる.実際の理学療法においては,従来の股関節運動に加え姿勢・動作改善に着目し,股関節運動パターン拡大と動作バリエーションの多様化を目的とした治療展開を実践している.本稿では,当院で実践している股関節症に対する治療指針の経緯と現在行っている姿勢・動作改善に着目した理学療法評価・治療方法の一部を紹介する.
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