特集 老年症候群と理学療法
老年症候群と理学療法
4.理学療法で頻尿・失禁や便秘は改善するか?
橋立 博幸
1
Hiroyuki Hashidate
1
1杏林大学保健学部理学療法学科
キーワード:
尿失禁
,
便秘
,
老年症候群
,
理学療法
Keyword:
尿失禁
,
便秘
,
老年症候群
,
理学療法
pp.423-432
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106635
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はじめに
尿失禁,頻尿,便秘は加齢とともに増加する1)老年症候群の症状であり,疾患の罹患によって助長される排泄障害である.これらの排泄障害は,日常生活活動制限,社会参加制約を引き起こし,生活の質の低下や閉じこもりを招くとともに家族介護者の介護負担増加の要因となる2).そのため,排泄障害の効果的・効率的な改善は超高齢社会において継続的に求められる課題である.排泄障害を有する高齢者を対象とした理学療法では,排泄動作にかかわる動作障害への介入3)とともに,尿失禁や便秘の症状そのものの改善に資する介入を積極的に推進していくことが望ましい4).
本稿では,老年症候群を有する高齢者の尿失禁と便秘に対して理学療法士がどのような手段で改善を図ることができる可能性があるか,病態を整理しつつ近年の研究報告を交えて述べることとする.
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