講座 低侵襲手術の今・2
低侵襲心臓手術と理学療法
木内 竜太
1
,
富田 重之
1
,
渡邊 剛
1
Ryuta Kiuchi
1
1金沢大学心肺・総合外科
キーワード:
低侵襲心臓手術
,
MICS
,
MIDCAB
,
ロボット心臓手術
,
da Vinci
Keyword:
低侵襲心臓手術
,
MICS
,
MIDCAB
,
ロボット心臓手術
,
da Vinci
pp.161-165
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106560
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低侵襲心臓手術(minimally invasive cardiac surgery:MICS)
一般に心臓手術は,胸骨正中切開という胸の中心を大きく縦に切り,その下の胸骨を全長にわたって縦切開して行われる(図1).このアプローチは良好な視野が得られ,確実な心臓の手術ができるという点で,数十年にわたり心臓手術のgolden standardとなっていた.しかしながら,胸骨正中切開法は,患者さんにとっては,術後の創部痛のため,排痰がうまくできず肺炎を併発したり,リハビリテーションが進まず社会復帰に時間を要したりする原因となる.また胸骨を切開することは,骨髄炎(あるいは縦隔炎)など命にかかわる重篤な合併症の危険が伴う.
近年これに対して,患者さんへの侵襲を軽減するための低侵襲心臓手術(minimally invasive cardiac surgery:MICS)が導入され広く行われるようになってきた.MICSという手術の概念は,胸骨正中切開を行わず,小肋間開胸にて心臓手術を行うことである.MICSは術式別に大別すると,小さい左肋間開胸下に,人工心肺装置を用いず,心拍動下でバイパスを行うminimally invasive direct coronary artery bypass(MIDCAB)と,人工心肺装置を用いて,右小肋間開胸もしくは3~4個のポートを右肋間において完全内視鏡下に,弁膜症や心房中隔欠損症(atrial septal defect:ASD)などの心内手術を行う2つに分けられる.
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