書評
―沖田 実(編)―「関節可動域制限 第2版 病態の理解と治療の考え方」
平川 善之
1
1福岡リハビリテーション病院
pp.1043
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106479
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関節可動域制限――臨床で最もよく聞く言葉であり難敵な強敵であるが,その詳細を説明できたうえで治療展開に結び付けているだろうか? 恥ずかしい話であるが,この問いに答える自信はない.しかしわれわれはこの難敵に対して,効果的なリハビリテーションアプローチを実施することが求められる.そのためには関節可動域制限が生じるのは何故なのか? という根本的解釈が必要となる.本書にはこのアプローチを実践するために必要な根本的知識が多く備わっている.
本書は,2008年1月に発刊された『関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方』の第2版として2013年5月に出版されたものである.その内容は,第1章では「関節可動域制限の基礎」として関節可動域制限の発生状況と発生要因などその基本的事項を整理したうえで,本書の特色ともなる関節可動域制限の病態を筋収縮に由来するものと拘縮に由来するものに分類し,その違いを説明している.そして第2章では「拘縮の病態と発生メカニズム」として,動物実験の実施方法を示したうえで,皮膚・骨格筋・靱帯・関節包・その他の関節構成体などそれぞれの変化に由来した拘縮の成因について,過去の文献のレビューとともに豊富な自験例を紹介している.そして第3章では「関節可動域制限に対する治療の考え方」としてストレッチングや物理療法および振動刺激を利用した治療効果に関し,これまでの報告や自験例を織り交ぜながら考察を加えている.
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