書評
―中村耕三(監訳)/M. Llusá, À. Merí, D. Ruano(スペイン語版著者)/Miguel Cabanela, Sergio A. Mendoza, Joaquin Sanchez-Sotelo(英語版訳者)―「運動器臨床解剖アトラス」
吉川 秀樹
1,2
1大阪大学大学院器官制御外科学
2大阪大学医学部附属病院
pp.809
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106405
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このたび,『運動器臨床解剖アトラス』が翻訳出版された.原著は,スペインの3名の著者によるもので,その内容が米国整形外科学会(American Academy of Orthopaedic Surgeons:AAOS)で高く評価され,米国の翻訳者により,まず英語版“Surgical Atlas of the Musculoskeletal System”として2008年に出版された.本書は,その英語版から,中村耕三先生が中心になって翻訳された待望の日本語版である.
本書を閲覧して,まず想起したことは,同じ解剖学書で,ドイツの医師クルムスの著書“Anatomische Tabellen”(解剖図譜,ターヘル・アナトミア)が,まずオランダの医師ディクテンによってオランダ語に翻訳され,その後,オランダ語に造詣の深い前野良沢が,杉田玄白,中川淳庵らとともに日本語に翻訳し,『解体新書』が完成した経緯である.時代は異なっても,名著は言語の壁を超えて世界中に普及することが再認識され大変感慨深い.
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