特集 在宅理学療法の可能性を探る
運動器疾患における在宅理学療法の可能性
藤本 義道
1
Yoshimichi Fujimoto
1
1佐藤病院リハビリテーション科
pp.787-795
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106401
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はじめに
在宅において,いわゆる機能練習ばかり提供していないだろうか? 在宅医療にかかわりはじめて早15年,常に頭の隅に置いている言葉である.理学療法養成校の面接試験で安易に「人の役に立ちたい」と述べていた自分を恥じている.あっという間の歳月ではあったが,これまでさまざまな人間模様とともに多くの問題に直面し,時にはこの仕事のやりがいに突っ走り,また時には自分の無力さに失望した.思えば“やる気”だけでは行えない,非常にシビアでとても大切な仕事であると考えている.
本稿で私に与えられたテーマは「運動器疾患における在宅理学療法の可能性」である.しかし在宅医療では,病院内のように運動器・中枢・内部疾患と個別で対応することはまず考えられず,すべてを包括したリハビリテーションサービスとして提供していることを前提として述べる.ターゲットは「疾患」ではなく,「生活」リハビリテーションである.「完全なる在宅リハビリマニュアル」はまず存在し得ないが,医療・福祉・介護分野でのよりよいリハビリテーションサービス追求のため,現場の経験から得てきたポイントを中心に紹介する.何らかのヒントになれば幸いである.
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