書評
―中山恭秀(編)―「3日間で行う理学療法臨床評価プランニング」
藤澤 宏幸
1
1東北文化学園大学医療福祉学部
pp.717
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106375
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「人間は時間を識り,時間的世界のうちに時間的に存在する.動物には時間を識るということはない(『人間と動物』より)」とは心理学者ボイテンディクの言葉である.人は,時間を自ら管理できる可能性を与えられたと言ってもよい.しかし,適切な修練を積まなければ具体的な能力に結びつかないというのも,また真実であろう.
その意味で,本書はプランニングという時間管理に焦点をあてて編集されていることに特徴がある.これまでに出版されている理学療法評価学の書籍は,標準的な検査・測定法について疾患ごと,障害ごとにまとめられたものが大半を占めている(それはそれで大事なことではあるが).しかし,この本はひと味違う.「流れ」を大切にして,事前準備,1日目,2日目,3日目と時間軸で行うべき作業がまとめられている.「前日までに必要な医学的知識」,「あると助かる知識」では,最低限確認すべき知識とアドバンスなものが別々に提示されている.さらに,「前日に始める情報収集」についても,箇条書きでまとめられ一つずつチェックできるようになっている.その後,評価1日目からの流れがイラストを有効に活用しながら書かれており,手順を直感的に理解できるという印象で,抵抗感が少ない.
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