講座 理学療法診療ガイドライン・4
心大血管疾患の理学療法診療ガイドライン
内山 覚
1
Satoru Uchiyama
1
1新東京病院リハビリテーション室
pp.635-641
発行日 2013年7月15日
Published Date 2013/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106354
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診療ガイドライン作成の背景
1990年ごろからevidence based medicine(EBM)の重要性が強調され,根拠に基づいた治療を展開することが期待されている.エビデンスとは,疫学的手法により集められた質の高い一般論であり,治療方針を決定する際に参考にされるべきものである.理学療法の分野では,論理的に正論と思われる治療の組み立てや,実施後に結果を評価することで治療介入の有効性を示す方法が伝統的に用いられており,今なお広く普及している.そのこと自体は間違いではないが,中には有効性が明確でないままに続けられている治療介入も存在し,漫然と続けられることは厳に慎まなければならない.
2011年に公益社団法人日本理学療法士協会主導により作成された診療ガイドラインは16の領域を含んでおり,共通のエビデンスレベルと推奨グレードを基本として作成されている.内容には,理学療法介入のほかに評価指標,用語解説が含まれており,これらは初学者向けに解説の意味を含めて記載されている.現行のリハビリテーションにおける診療体系は,疾患別リハビリテーションである.脳血管疾患,運動器疾患,呼吸器疾患に並び心大血管疾患が項目の1つとして挙げられており,この領域における理学療法の重要性はますます高まってきている.
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