臨床実習サブノート スーパーバイザーの視点・論点―患者さんに触れるまで・10
心疾患(高齢心不全)
内山 覚
1
Satoru Uchiyama
1
1新東京病院リハビリテーション室心臓リハビリテーション部門
pp.77-85
発行日 2012年1月15日
Published Date 2012/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102175
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ステップ1.理学療法士の役割,理学療法士としての心構え,目標
急性期治療の進歩に伴って,救命された心疾患を持つ患者さんが巷にあふれています.低い心機能で延命し,入退院を繰り返しながら徐々に心不全が進行していきます.もとの病気の治療を十分に行うこと,心不全への進行を食い止めること,心不全の再発や再入院を予防すること,生活の質(QOL)を高く保つことなどがわれわれ医療者に求められています.私たちの目の前には,糖尿病や高血圧などの心不全発症リスクを持つ方から,心不全の最終ステージともいえる末期の方まで様々な病期の患者さんがいらっしゃいますが,それぞれの病期で理学療法士はどのように貢献すべきでしょうか.また,それらの患者さんの多くは高齢者です.複雑な合併症を複数持ちながら独居を継続している方,家族の介護を受けながら生活している方,心不全を抱える高齢者ご自身が家族を介護している方まで様々です.
一人ひとりの病気や支援体制が異なる中で,ご本人だけでなく家族全体のQOLを支えるためには,多職種が連携してオーダーメイドで支援体制を考えていかなくてはなりません.心不全理学療法は複雑な応用問題なのです.理学療法士を目指す学生諸氏には,ぜひこの応用問題に挑んでいただきたいと思います.医療や社会全体の中で,理学療法士が果たす役割について多くを学ぶことができると思います.
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