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50年前何があったか,すなわち1963年,その年に生まれた人は50歳になりますが,もう少し上の年代でないと記憶にないかもしれません.この年は,東京オリンピックの開催を翌年に控え,現在の2020年東京オリンピックの招致活動以上に,日本全体がオリンピックで盛り上がっていた時代だったと聞きます.日米間のテレビ宇宙中継実験が成功すると同時に米国のケネディ大統領の暗殺が伝わったのもこの年であり,NHKの大河ドラマが開始されたのもこの年でした.このような年に,日本リハビリテーション医学会は誕生しました.日本では,リハビリテーション医療はまだまだ浸透しておらず,大学での講座や講義,リハビリテーション医療を専門とした診療科もない時代でしたから,創立にあたっては幾多の困難や苦労があったか計り知れません.各々の診療科のなかでリハビリテーション医療にご努力されてきた多くの先生方や海外でリハビリテーション医学を学んで帰国してきた先生方がともに集い活動するなかで,日本リハビリテーション医学会は創立したと聞いています.また,その年にはリハビリテーションスタッフの重要な一員である理学療法士,作業療法士育成のための専門学校も設立され,日本のリハビリテーション医療にとってまさしく大きな一歩を踏み出した年であったと言えます.
それから50年,多くの方々のさまざまな活動やご尽力により,リハビリテーション医学・医療は着実に発展し,わが国に広く定着するようになりました.そして,2013年6月13日(木)~15日(土)の3日間,東京国際フォーラム(図)において,第50回日本リハビリテーション医学会学術集会を開催することになりました.本大会のテーマは,「こころと科学の調和―リハ医学が築いてきたもの」としました.リハビリテーション医学は,他の医学分野,診療科と同様にサイエンスを基盤としています.しかし,それだけではリハビリテーション医療は成立しません.リハビリテーションを担っているすべての人がもつべき「医のこころ」もまた,リハビリテーション医療には必要であると考えています.サイエンス万能の世にあって,忘れてしまいがちな「こころ」,これとサイエンスの調和こそが先達が築いてこられたリハビリテーション医療であり,さらにその伝統の上に力強い歩みを重ねていく第一歩を踏み出す誓いの意味を込めて,このテーマにしました.
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