特集 低出生体重児の理学療法
PVL児の出産予定日における神経学的評価の特徴
烏山 亜紀
1
,
河村 光俊
2
Aki Karasuyama
1
1広島大学大学院医学系研究科
2広島大学大学院保健学科
pp.419-425
発行日 2002年6月15日
Published Date 2002/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106054
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はじめに
近年,低出生体重児の生命予後は著しく改善されてきているが,脳性麻痺をはじめとする神経学的予後の発生は依然大きな問題として残っている.特に,最近では極低出生体重児における脳性麻痺の相対的な増加が指摘されており,その原因として脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia:以下,PVL)がクローズアップされるようになった1).しかし最近では画像診断の進歩によりPVLや脳室内出血(intraventrcular hemorrhage:以下,IVH)などが早期に確認され,明らかに脳障害を合併している低出生体重児の早期発見につながっている.
その一方で新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:以下,NICU)にかかわる理学療法士は増えつつあるが,新生児期からの早期介入はまだまだ発展途上であり,これら脳障害をもつ,あるいは新生児期には異常が発見されず,後に脳障害と診断される児の新生児期の状態を評価し,その特徴を検討した報告は少ない.
新生児期から児の神経学的状態を評価する目的としては,画像と組み合わせることで脳障害の早期の診断を行うことに注目が集まっているが,私たち理学療法士は脳障害の診断だけでなく,新生児期に脳障害が強く疑われる児,脳障害の可能性は低いが運動や行動に多くの未熟性を示し,その後の発達になんらかの障害を残す可能性の高い児のケアと治療,またその後のフォローの方法につながる評価であることに重点を置くべきである.
今回は特にPVL児の新生児期の神経学的症状に注目して,早期からの特徴について検討した.
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