今月の臨床 胎児・新生児のBrain Damage
胎児期の脳損傷
2.PVLの発生メカニズム
茨 聡
1
1鹿児島市立病院周産期医療センター
pp.1142-1145
発行日 1998年9月10日
Published Date 1998/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903392
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肺サーファクタント補充療法および人工換気法の進歩により,呼吸不全による低出生体重児の死亡率は激減してきている.また,これら呼吸管理法の進歩により.これまで,児の神経学的予後を不良にしていた脳室内出血の発症頻度も減少してきている.しかしながら,新生児経過中,脳室内出血も認めず,順調に経過していたにもかかわらず,脳性麻痺と診断される児が存在し,その原因として脳白質の病変,とりわけ脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia,以下PVL)が認識されるようになってきた.脳室周囲白質部,とくに三角部には,頭頂葉に存在する運動中枢からの神経線維いわゆる皮質脊髄路が存在するため,PVLの存在する児ではその連絡が絶たれ,痙性麻痺となると考えられている.そこで本稿では,現在考えられているPVLの発生メカニズムについて概説する.
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