とびら
全介助の患者さんからのメッセージ
石峰 幸恵
1
1鹿児島生協病院リハビリテーション部
pp.219
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106011
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最近担当した患者さんのことをお伝えします.痴呆が進行してきたAさんは,薬物を誤飲し入院してきました.それ自体は大事にいたらなかったものの,追い討ちをかけるように動脈閉塞症による大腿切断,脳梗塞重症肺炎と病気を発症し,排痰の目的で理学療法の指示が出されました.Aさんの排痰は,それはもう大変な作業でした.Aさんの気管には変形があり,呼吸介助法などで大量の痰が上がってくるにもかかわらず,カニューラの挿入が困難で,SpO2モニターの値がどんどん下がってしまう状態だったからです.
ご家族から気管切開の同意を得るまでの3日間,1日1回はブロンコファイバーといっしょに,もう1回はナースと2人で1時間余りの悪戦苦闘.冷汗をかきながらの治療が続き,Aさんは肺炎を乗り切りました.しかし,右上下肢は弛緩状態,左は大腿より切断,痴呆も進行し,自分から意志表示することもありませんでした.高齢の奥さんと2人暮らし,在宅での介護も困難でした.
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