特集 臨床現場にいかす障害構造・障害分類
WHO国際障害分類を障害者のための臨床現場にどういかすか
1)身体障害者リハビリテーションの立場から
大川 弥生
1
Okawa Yayoi
1
1国立長寿医療研究センター老人ケア研究部
pp.21-26
発行日 2002年1月15日
Published Date 2002/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105959
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
―実践的武器としての障害構造論・分類
リハビリテーションの理念は「全人間的復権」1,2)であり,具体的には1人ひとりの障害のある人(以下障害者)の最大限のQOLの向上といえよう.我々リハビリテーションの専門家はその実現にむけて対応しているのであるが,その専門的対応の過程は非常に複雑なものである.この過程を真に障害者本位として行うために,障害構造論とそれをもとにしたWHO国際障害分類は実践的武器として非常に有益である.
障害構造論は理論のための理論ではない.また障害分類は,一部で誤解があるように単に障害を分類・記載するためのものではなく,ましてや障害者を分類しようとするものではない.
ICIDHのICFへの改定を契機として,障害構造論・分類の臨床実践の武器としての効用を再認識いただきたい.ICFでは具体的障害分類もICIDHと比べて格段に臨床実践にとって有意義なものとなっており,その活用が期待されるものである.
障害構造論・分類は身体障害者リハビリテーションの分野において,調査・研究などの様々な分野で活用されるものであるが,紙幅の制約もあり,本稿では1人ひとりのリハビリテーションを実現するための実践的武器としての面について,特に障害構造を主体として論じることとする.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.