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介護保険の目的は,要介護高齢者等がその能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支援することにある.そのためには,サービスの提供自体を主眼とした考え方から,利用者のニーズに基づいたサービスの提供や利用者の選択が保障されなければならない.介護保険制度ではこうした考え方のもと,ケアマネジメントを導入し,介護サービス計画に基づいたサービスの提供が義務づけられている.ケアマネジメントの定義は諸家によって異なっているが,竹内は「自立とQOL(本人と家族)を目指して,そのためにニーズをしっかりととらえてサービスを行う総合的援助である」と述べている.
ケアマネジメントの過程には,アセスメント,計画の立案,サービスの実施,そしてモニタリングが含まれ,以下のような手順が示されている.①要介護高齢者等から居宅介護支援事業所に居宅サービス計画の作成依頼がなされる.②事業所に勤務する介護支援専門員(ケアマネジャー)が利用者の自宅等を訪問し,心身の状況,サービス利用の希望を聞き取り,課題分析(アセスメント)を行い,問題点の抽出や解決すべき課題を把握する.③次にケアマネジャーが立案した介護サービス計画原案をもとに,サービス提供者や利用者ならびに家族の参加を得てケース担当者会議(ケースカンファレンス)を開催し,問題点や課題および計画原案についての意見交換が行われ,原案の修正等が行われる.④次いでサービス提供者との具体的な実施の調整が行われ,利用者の承認を得てサービス計画が決定される.⑤そして,サービス計画に基づいて訪問介護等の具体的なサービスが提供され,⑥その後サービスの継続的な把握(モニタリング)が実施されるとともに,課題や問題点が解決されたかどうかの再評価が行われ,必要に応じて計画の見直しがなされる.こうした一連の手順が示されているが,③のケースカンファレンスの開催は進んでいないのが現状である.
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