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介護保険では,保険給付(介護サービス)を受けるためには,被保険者が市町村の窓口に要介護認定の申請をしなければならない.市町村は申請を受けて,職員等を被保険者の居住先(自宅や施設等)に派遣し,要介護認定に係わる調査を行わせる.調査は当該市町村の職員が行うほか,介護保険施設および指定居住介護支援事業者に委託でき,これら施設,事業者に所属する介護支援専門員(都道府県が実施する認定調査に関する研修を修了)が調査を行うこととなっている.
認定調査内容は,概況調査と基本調査および特記事項の三者で構成されている.概況調査は①調査対象者の住所や年齢,性別といった属性,②現在受けているサービス(介護保険で給付されるサービス等)や,③調査対象者の主訴,家族状況,住居環境,虐待の有無等である.こうした情報から,対象者の生活の状況を知ることができる.認定調査の中心は基本調査であり,介護の手間の観点から調査するものである.基本調査は9群から構成されており,第1群は上下肢や関節の麻痺や拘縮の有無,第2群は寝返りや歩行といった移動動作,第3群は立ち上がりや片足立ち,浴槽の出入りや洗身といった複雑動作,第4群は食事や嚥下,排泄の介助といった特別な介護の有無,第5群は口腔清潔や更衣,居室の掃除や金銭管理といった身の回りに対する介護の有無,第6群は視力・聴力,意志の伝達や記憶,場所の理解といった意志疎通,そして第7群は昼夜逆転や徘徊,不潔行為といった問題行動に関する項目である.このほかに,特別な医療に関する項目として,点滴の管理や褥瘡の処置,カテーテルの管理等の12項目が,日常生活自立度に関する項目として,障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)と痴呆性老人の日常生活自立度の二者が設けられている.このうち,1群から7群の73項目および特別な医療12項目のデータを用いて一次判定の基準となる要介護認定基準時間が算出される.
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