Letter from Abroad 海外で活躍する日本の検査技師
厳しい基準合格認定調査の制度(その1)—アメリカ・4
寺村 公
1
1マウント・サイナイ・ホスピタル電子顕微鏡室
pp.848-849
発行日 1985年9月1日
Published Date 1985/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203451
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■ラボラトリーの基準合格認定調査
2年に一度の割で行われるメディカル・ラボラトリーの基準合格認定調査は,上はラボラトリーのディレクターから,下々に至る検査科全職員にとって,たいへん頭の痛い行事である.検査官は,College of American Pathologistsから派遣されるメンバーで,10人以上のパソロジストたちが朝早くから病院にやって来て,一日がかりで全検査室を回り,各検査室が基準に合っているかどうか,欠陥がないかどうかを調査するのである.ここでいうCollegeとは,普通の意味で使われる大学という意味ではなく,ここではAssociationとか,Societyと同意味に使われていて,いくつかあるパソロジストの組織団体の一つである.このCollegeは,学会を開催するとか,その他パソロジストの教育面に携わるとかはあまりなく,むしろ政治的要素の強い団体で,各病院の基準評価を下す役目を引き受けている.
この調査日が近づくと,ふだん検査室に顔を出したことのないディレクターがちょくちょくやって来て,試薬棚や冷蔵庫を開け,きちんと整理されているかどうかを見たり,検査官が質問しそうな事がらを我々に質問したりする.もし欠陥が数多くあれば,病院にとって不名誉なことであるので,この調査で神経質になるのは,我々下っぱより,むしろディレクターの方で,その当日になるといらいら,そわそわは最高潮に達し,傍から見ていても気の毒なほどである.
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