プログレス
機能訓練と感覚の投射
塚本 芳久
1
1川崎医科大学リハビリテーション科
pp.544-545
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105713
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1.はじめに
熟練したセラピストは機能訓練中に患者の関節や筋に体性感覚を認識するという.自己の身体の外に感覚を認識するというのは奇妙なことであるが多くの読者が経験している事実であろう.筆者はこの心理現象を感覚の投射1)であると考えた.
感覚の投射は道具の使用時によく認められる.例えば熟練した機械工は,ねじ回しの先に圧力の感覚を投射しており,すばやく仕事ができるのはこの投射のおかげである.我々も日常,箸やペンの先に感覚を認識している.セラピストが患者の四肢を手で把持して機能訓練を行うとき,道具と同じように患者の身体がセラピストの身体の機能的な延長部分となると考えられる.最近この「感覚の投射」現象がニューロンレベルで徐々に解明されるようになってきたので紹介する.
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