特集 義足―新しい技術と適応
義足歩行(2)―股切断を中心に
畠中 泰司
1
,
延藤 実穂
1
,
安藤 徳彦
2
,
根本 明宜
1
Hatakenaka Yasushi
1
1横浜市立大学医学部附属病院リハビリテーション科
2横浜市立大学医学部附属市民総合医療センターリハビリテーション科
pp.262-268
発行日 2000年4月15日
Published Date 2000/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105528
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1.はじめに
ここ数年,義足は殻構造から骨格構造に移り変わりシステム化が進み,外観が改良され,重量も軽減化し,各種部品の選択が可能となってきている.また,エネルギ蓄積型足部の開発とその普及にみるように,各部品の開発が盛んである.特に膝継手は,これまでの機能と異なる立脚相制御機構を備えた継手が開発され,臨床で用いられるようになってきている.このことにより,義足装着者の歩行や走行などの能力は飛躍的に向上してきている.
我々は,新たに開発され使用が可能になった膝折れ防止機構付き多軸膝継手(以下,膝折れ防止付き継手)を1996年より片側骨盤切除,股関節離断の切断者に処方してきた.そして,これまでの経験を整理し,この継手の効果や義足歩行を獲得するための指導方法についての若干の知見を報告してきた1-4).
これまでの経験から,膝折れ防止付き継手のような一般的に高機能と称されている部品を使用する場合は,ソケットの適合,アライメントの設定方法,足部等との組み合わせの問題を改めて検討する必要があると考えている.また,高機能であるからといって,それを使用すれば直ちに高いレベルの活動が獲得できるものではなく,そこには部品の特性を発揮させるための最適な援助が必要であるとも考えている.
今回はMcLaurinにより発表5)されて以来,股義足の代表である殻構造のカナダ式股義足について概説し,当科の股義足の処方状況,膝折れ防止付き継手を用いた場合の歩行獲得に向けた指導方法などをこれまでの経験を中心に述べることとする.
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