特集 インフォームド・コンセント
重症心身障害児・者と家族のための理学療法とインフォームド・コンセント
羽原 史恭
1
Habara Nobuyasu
1
1旭川荘療育センター児童院療育課
pp.837-841
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105180
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1.はじめに
重症心身障害を持つ人々と働く理学療法士がいることを,全国の仲間(理学療法士)のうちどのくらいが知っているのだろうか?
理学療法ジャーナルが“理学療法と作業療法”として1967年に創刊されて以来30年以上の歴史を持つが,今日まで“重症心身障害児・者”の特集が組まれたのは1970年の僅か1回のみ,1991年の“重度障害児の理学療法”を含んでも2回だけである!
これまで理学療法士は重症心身障害を持つ人々(以下重症児・者)についてあまりにも無知で無関心だったのではないだろうか.
旭川児童院に臨床実習生が来ると,彼らは例外なく落ち込み,実習を終えることが可能かどうか不安になる.学生は授業で重症児・者について学んだことはなく,教官でさえ実際には重症児・者についてはほとんど知らない,というのが現状である.
本格的な臨床実習に出る前の1年,2年生の見学ではより素直で,はっきりとした意見を聞くことができる.「患者さんにどう接したらいいのか分からずにびびってしまいました.最後まで心のどこかでびびっていました.他の病院見学とは異なるびびりでした.」これは見学に訪れたある1年生の感想である.重症児・者について理解することは素直に驚き,そして考えることからその第一歩が始まるが,理学療法士を志すほとんどの学生はこの驚きを体験することがないまま,臨床の場に巣立って行く.
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