特集 認知障害
大脳半球機能と理学療法
沼田 憲治
1
Numata Kenji
1
1昭和大学医療短期大学理学療法学科
pp.583-589
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105108
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1.はじめに
Broca(1861)は,左大脳半球が言語機能と密接な関係を有していることを報告した.それ以後,右半球が視空間能力に密接に関係していることが見い出されるなど,一側半球に偏在化した機能についての研究は飛躍的に進歩した.左,右半球の非対称性は,言語機能に関連した領域1,2),視覚機能に関連した領域3)が形態においても非対称性であることが知られている.また,こうした大脳半球の形態的非対称性は,遺伝によって決定づけられるものと考えられている4).
半球損傷患者の理学療法においても,損傷半球側による運動能力の差異を指摘する報告が多くある5-9).このことは,ある種の運動機能そのものや,運動に対し間接的に影響を与える因子が左,右半球に偏在していることを示唆するものである.本稿では,理学療法に関連する運動および認知機能について,左,右半球の差異という観点から述べる.
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