特集 「注意」の障害に対する理学療法
「注意」の障害における理学療法評価―大脳半球機能と注意障害
村山 尊司
1
,
沼田 憲治
2
,
高杉 潤
1
,
宮本 晴見
1
Murayama Takashi
1
1千葉県千葉リハビリテーションセンター理学療法科
2昭和大学保健医療学部理学療法学科
pp.1039-1044
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100929
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脳卒中後の注意は臨床ではどのように捉えられるか.脳損傷後は多かれ少なかれなんらかの注意障害を伴うとされる1).時に患者の主要な問題点になることさえある.運動機能面で改善を認めても日常生活で監視が外せないなどのケースの多くに注意障害が影響していることは臨床上よく経験する.しかしながら「せっかちだ」,「集中力がない」,「ボーッとしている」などの主観的な言葉で表現はできてもそれが一体何によるものなのか,明確に捉えがたいことも事実である.理学療法の分野でもいわゆる高次脳機能障害の代表的な症状である半側空間無視などは広く認知され多くの検査項目が活用されているが,注意障害についてはあまり知られていないのが現状ではないだろうか.
本稿では注意障害の評価について臨床的に用いられている検査方法やその解釈について自験例の提示を含め一部紹介する.さらに,注意障害をより理解しやすいものとするため,主に右半球損傷と注意障害に焦点を当て,諸家の報告を紹介し,大脳半球機能における注意の特性についても触れることにしたい.
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