書評
―松井宣夫・平澤泰介・伊藤達雄(編)―整形外科術前・術後のマネジメント
鳥巣 岳彦
1
1大分医科大学整形外科
pp.236
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105044
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この本には,整形外科領域の手術を行うに当たっての,術前・術後の患者管理の在り方が記載されている.我々の病院でも幾つかの疾患で術前処置や後療法マニュアルを作ってはいるが,これだけ多くの疾患の後療法を網羅した本は貴重である.しかも項目によっては,骨や筋腱の治癒過程に合わせて,週単位で運動負荷をこまやかに増加させる訓練法の記載もあり,日常診療で直ぐに役立つ,待望久しい本であるといえる.
後療法といえば25年前の経験を思い出す.87歳の院長夫人が廊下で転倒して大腿骨頸部骨折を生じた.ほとんど内科系の20人近い医師が親族会議を開き,“高血圧の治療中でもあり,安らかに天寿を全うさせよう”との意見でまとまりかけた.その中に一人だけいた整形外科医が私の所に相談に見えて,“結果に対しては私が全て責任を持ちます.是非手術をして欲しい”と依頼された.
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