人
地域医療に思いを寄せる 総合水沢病院院長 中島達雄氏
末武 保政
1
1十和田市立中央病院
pp.936
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208153
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はじめて中島先生にお会いしたのは,先生が水沢病院長に就任される直前の昭和37年7月のある日のことであった.その時先生はカルテ倉庫の中で寄生虫の患者のカルテを選び出しておられた.あねさんかぶりにマスク,エプロン姿という格好で,埃にまみれておられたのが印象的であった.
先生は東北大学黒川内科で寄生虫病学を研究されていたから,それを地域医療の中に展開されたのではないかと思うが,あるいはそれは逆であって,寄生虫病学を進めてゆくうちに先生の地域医療への志向が確立されていったと見るべきかもしれない.先生は青森県十三港のご出身で,酒の席などで歌を所望されると,はにかみながら「十三の砂山」を歌われることが多かったが,私にはその歌声がどの歌手のものよりも心にしみるように思われたのである.先生の地域医療に寄せる思いはまた,その生まれ在所と深いかかわりがあるのかもしれない.
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