追悼
舘林宣夫先生を悼む
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.297-298
発行日 1977年4月15日
Published Date 1977/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205372
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戦後10年余に亘って,本誌の編集委員を担当された舘林宣夫先生が,3月2日逝去された.昨年2月,石垣純二氏の逝去の際には,友人として葬儀委員長を務められ,お元気にみえたが,その後間もなく病を得て入院され,薬石効果なく遂に不帰の客となられたことは,誠に痛恨のきわみというほかはない.
先生は,長野県下伊那郡の出身,昭和13年3月東大医学部を卒業,警視庁防疫課に1年在籍の後,同14年4月厚生省に入られ,昭和42年9月環境衛生局長を退官されるまで,文字どおりその生涯を国の衛生行政の発展に献げられた.一見いわゆる秀才タイプではないが,その発想はつねに斬新奇抜であり,また喰いついたら絶対に離さないところがあった.いわば激動の時代にふさわしい人材であり,先生はその才幹を衛生行政の発展にフルに活かされた.昭和20年代から30年代初期にかけて,石垣純二,豊川行平,佐藤徳郎の諸氏とともに本誌の編集に当たられたが,いずれ劣らぬ俊英,論客であり,その頃の編集会議は喧々諤々,夜の更けるのを知らなかったといわれる.育ての親に人を得た本誌は,誠に幸運であったというべきであろう.
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