入門講座 ケーススタディの書き方・4
病院における症例検討―整形外科疾患を対象とした症例検討
江西 一成
1
Enishi Kazunari
1
1産業医科大学病院リハビリテーション部
pp.576-580
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104966
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はじめに
整形外科領域の治療技術の進歩は目覚ましく,その要請に応えられるよう我々も研鑽を積む必要がある.病院における病例検討は,この点に対しての研鑽・啓発の場といえる.
一方,医療は主治医と患者の関係を中心に,それぞれの診療科の治療方針に沿って進められる.また,手術療法は整形外科の治療方針に大きな比重を占めている.そして病院は,これらのことを軸に最良の医療サービスと成果を提供することが責務であり,理学療法も例外ではない.当院において整形外科疾患は,外来患者を除くとほぼ全例が手術後の患者であり,その理学療法は手術の目的を踏まえ,効果的にその目的を達成させることが最優先となる.ここから,病院という実務場面においては,単に勉強会的な症例検討が行われることは少なく,むしろ治療方針に関わるものが主体となっている.
しかしながら,自らの研鑽・啓発は不可欠のことであり,症例検討はその有用な手段である.だが,必ずしも勉強会形式のなかだけで,その役割が果たされているわけではない.本稿では,当院の現況から整形外科疾患を対象とした症例検討のあり方,さらに他の場面でも同様の役割が果たされている状況を述べる.
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