特集 理学療法の展望
21世紀の理学療法―私はこう考える
1人ひとりを大切に―重症心身障害児施設に働く理学療法士の立場より
宮崎 泰
1
Miyazaki Yasushi
1
1心身障害児総合医療療育センター
pp.898-899
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104930
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近年,心身に障害がある人やその周囲の人の障害に対する意識に変化がみられ,ニードも多様化している.
デンマークで研修した際に,24時間介護のアシスタントと共に地域で生活している筋ジストロフィー症(肢帯型)の人の家に1か月余りホームステーさせて戴いた.その人の住宅は,リモコン操作で入り口ドアの開閉ができるように改造されていたが,部屋のドア,窓,トイレ・浴槽,調理台その他ほとんどは健常者用の仕様になっていた.そこで,「身体の不自由な人にとって,この家は使い勝手が悪くないですか?」と質問した.すると,「問題は全くない.ほとんどアシスタントがやってくれるから」と答えた.また,日本の特養老人ホームでのことだが,脳梗塞後の片麻痺のお年寄りが「訓練士はいらない」といって,立ち上がり動作や車椅子への移乗動作を自分1人で練習していた.やや短絡的な考えかもしれないが,リハビリテーションケアーについては,障害のある人の意思を優先し1人ひとりに適したサービスを提供する時代になりつつあるのではないだろう.
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