特集 杖・歩行補助具
杖・クラッチ歩行の運動学
今田 元
1
,
鈴木 堅二
1
,
岩谷 力
1
Imada Gen
1
1東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻運動障害学講座肢体不自由学分野
pp.322-329
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104772
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人間の持つ運動機能のうち,二足歩行は体幹を支持しながら移動させ,活動範囲を拡大する非常に重要な機能である.また,随意運動ではあるが身体各部の共同的な動きを伴う高度に自動化された周期的な運動である.運動障害に対するリハビリテーションの場面でも歩行の獲得が大きな目標の1つとなっている.歩行障害の原因には,中枢性麻痺,末梢性麻痺,筋疾患など筋力低下を伴うもののほか,運動失調,関節拘縮,関節痛,脚長差,さらに骨折など外傷や術後で免荷を要する場合などがある.歩行訓練は,立位保持,立ち上がり訓練を経て平行棒内訓練で開始されるが,その過程で,一時的に,あるいは永続的に,歩行器,杖,各種クラッチなどの歩行補助具が使用される.これらは,義肢,装具と併用されることも多い.
ここでは,T字杖やステッキ,多脚杖など,支持点が握り1点のみのものを杖(cane),松葉杖,ロフストランドクラッチ,カナディアンクラッチなど握り以外にもう一点,身体との接点があるものをクラッチ(crutch)と大きく2つに分けて1),運動学的立場から考察を行う.
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