プログレス
記憶障害のリハビリテーション―最近の考え方
江藤 文夫
1
Eto Fumio
1
1獨協医科大学リハビリテーション科学教室
pp.128-129
発行日 1997年2月15日
Published Date 1997/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104720
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言語や記憶など高次脳機能のメカニズムの研究は心理学の領域であり,近年の神経科学の発展に合わせて多彩な知見が集積されてきた.医療の分野では,人口の高齢化とともに脳の血管障害や変性疾患による障害が増加し続け,また事故による外傷性脳損傷は若年層にも稀でないことから,記憶障害を有する患者のリハビリテーションも重要な課題として認識されるようになった.
近年,その臨床研究が活発化してきた理由の1つとして,1980年代に入って,CTスキャン,MRIなどの画像診断技術の進歩と急速な普及に伴い,欧米における臨床心理士の役割が変化したことがあげられる.すなわち,病巣局在の診断に資するテストの実施と解釈に関するものから心理学的治療と回復訓練に関するものへと比重が変化してきたようである.心理学の分野としては,評価における神経心理学,機序に関する認識心理学,訓練(治療)法に関する行動心理学が統合された新しい領域ということができる1).
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