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特集 社会変動と精神医学
社会変動と精神医療—筑豊からの報告
Social Change and Mental Health Services : Report from the "Chikuho"
寺嶋 正吾
1
Shogo Terashima
1
1福岡県精神衛生センター
1Fukuoka Mental Health Center
pp.1147-1153
発行日 1971年12月15日
Published Date 1971/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201830
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I.はじめに
地域精神医療の理念をそれぞれの地域で現実的,具体的なものとして定着させていこうとする場合にとくにそうであるが,個々のコミュニティが大きな特色を帯びながら変貌を遂げていきつつあるために,「社会変動」といっても決して均質なものとしては語れないということを前提に置かねばならない。たとえば,人口移動ひとつとってみても,年々過密度を強めていく埼玉,千葉,神奈川,愛知,大阪,兵庫各県の場合と,人口の流出がやまず,着実に人口減の一途を辿る九州各県の場合とでは,その直画する精神医療の現実が異なり,その戦略目標,戦術が異なっていかざるをえないのである。過密のなかにいる研究者と過疎のなかの研究者がそれぞれの情況を正しく伝えあわないかぎり,1970年代の精神医療の全貌を完全な形で浮きぼりにすることはできない。
「社会変動」の問題に言及しようとすると,筆者は大大的な炭鉱スクラップ化という通産政策が徹底して進行した産炭地を含めて仕事の場を持っている以上,いわゆる炭鉱合理化問題が残した精神衛生,精神医療の問題に焦点をあわせてこの問題を取り上げざるをえない。
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