外傷性脳損傷児の両親の障害受容；復学について考えさせられた一症例

Impressive Case: Acceptance of Disability by the Patient of a Case of Traumatic Brain Injury; with Emphasis Returning to the School Life

　Ⅰ．初めに

　頭部外傷によるび漫性軸索損傷によって意識障害を来した場合，予後不良なことが報告されている^1，2)．また回復した場合でも運動機能の障害だけでなく記憶や注意力・運動面の障害が残存することも言われている³⁾．

　今回交通外傷によるび漫性軸索損傷を来し植物状態となり，受傷後3か月ごろから意識が徐々に覚醒してコミュニケーション，運動機能などに回復がみられた症例があった．

　今後も運動機能だけでなく，教育面や社会面等でさまざまな問題を抱えているこの症例について1994年4月までの経過と若干の考察について報告する．