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1初めに
健康増進の「健康」とは広辞苑では「身体に悪いところがなくすごやかなこと.達者.丈夫.壮健.」とあり.「増進」とは「増しすすめること.また,増しすすむこと.」とある.また,WHOの健康の定義では,「単に疾病や虚弱でないというだけでなく,肉体的にも精神的にも,また社会的にも安寧な状態」とされている.よって,健康増進とは,「積極的に健康な状態を高めていくこと」と考える.
われわれ理学療法士が一翼を担っているリハビリテーションの定義は「リハビリテーションとは,障害を受けた者を彼のなしうる最大の身体的,精神的,社会的,職業的,経済的な能力を有するまでに回復させることである.」とされている.以上より,健康増進は,リハビリテーションの概念に包括される,積極的姿勢と捉える.
通常リハビリテーションは,医学的リハビリテーション,続いて職業的リハビリテーション,前二者と横並びに社会的リハビリテーションと分類されている.理学療法士は,医学的リハビリテーションの場で,その大半が活動をしている.しかし,1981年からの国際障害者の10年は,障害者を社会的な存在として社会が受け入れ始め,町でも車いすや一本杖で歩く人々をよく見かけるようになつた.われわれの支援もADLの自立から,QOLの充実にと,本来の概念に立ち返り見直す必要がある.また,健康を維持・増進することは,われわれにとっても障害者にとっても,充実した生活,人生を送ることの必須条件であろう.
身体障害者のスポーツは健康増進の一つの方法と捉えられ,その導入期については,リハビリテーションの特に理学療法の一分野として用いるものも多い.さらに,生涯スポーツとして一生のものに,一部のものは競技スポーツへと展開していく.
本稿ではまず,牽引役とも言える競技スポーツの発祥から発展および彼らにもたらされた素晴らしい体力(狭い意味での健康増進)を紹介し,次にわれわれの勤務する社会福祉法人太陽の家(以下「太陽の家」と略.)の活動から健康増進のためのスポーツを紹介する.
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