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Ⅰ初めに
我が国における高齢化社会の進行は他の主要先進諸国に比べて極めて急速であり,65歳以上の老人人口は1992年に12.9%,2020年には約25%に達すると予測され,中でも75歳以上の後期高齢人口は現在の約5%から2020年には約12%へと急増が予測されている.こうした中で要介護老人(いわゆる寝たきり老人)は1990年に約70万人,1995年には約85万人,2000年には100万人と推測されている.
一方,これらの高齢者を支える状況についてみれば,核家族化,女性の社会参加の傾向はさらに進展し,老夫婦世帯や独居老人の急増を招き,日本特有の住宅事情,さらに協同意識の崩壊も加わって家庭や地域で障害者や老人を介護していく条件はさらに低下していくものと予測され大きな社会問題となっている.
厚生省が示したゴールドプランによると,2000年における要介護老人の介護は在宅36%,老人保健施設28%,特養24%,長期入院12%で「施設から在宅へ」のかけ声とは裏腹に在宅ケアの困難さがうかがえる.病み,患い,老いて安らぎを求める言わばヒンターランド(後背地)は消滅寸前の状況にある.
こうした状況の中で,われわれは1979年に病院と自治体の連携による寝たきり老人訪問指導を開始,1981年には集団機能訓練(通称「リハ教室」)に発展,その後さらに,自治体や医師会との連携を深めつつ,重症者への対応,家族機能を支援する立場から,同伴訪問指導,デイケア,デイサービス,老人保健施設など,理学療法という技術の壁を越えて「地域の中での老人介護」を目指して在宅ケア支援活動を模索してきた.今回地域リハビリテーションの講座執筆に当たり,その一端を紹介する.
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