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Ⅰ.初めに
1971年,嶋正利は出向先のインテル社(米)でFadilico Fadineとともに世界に先駆け4bit(ビット.ビットはデータ量を表す単位.4bitでは2進数4桁のデータ量,っまり0000から1111までの16まで表せる.)マイクロプロセッサー(1個または数個のLSIに集積した中央演算装置)i4004を開発した.その後も1974年に8bitマイクロプロセッサーi8080,翌1975年にはザイログ社で同じく8bitマイクロプロセッサーZ80をと次々にマイクロプロセッサーの開発を行ない,マイクロコンピュータ―(以下,マイコンと略.),パーソナルコンピュータ―(以下,パソコンと略.)におけるハードウェアの基礎を築いた.マイクロプロセッサーにメモリーと入出力機能を備えたものがマイコンで家電,工業製品などの制御部品として使われている.マイコンにキーボード,ディスプレイ,ディスク装置などを接続し汎用性を高めたものがパーソナルユーズのコンピューターと言ったほどの意味でパソコンと呼ばれている.しかし,厳密な定義は無く,マイコン,ワークステーション,オフィスコンピューターとの境界ははっきりしていない1,2).パソコンの言語には,初期の段階ではBASICが多用された.この言語は1975年ハーバード大学の大学院生だったBill Gatesらが,ダートマス大学(米)で開発されたBASICをパソコン用に変更を加えたものである.これがパソコン用言語のはしりとなった.パソコンが一般に受け入れられるようになったのは,この言語のもつ簡便性によるところも大きい.
我が国では1976年日本電気社から日本初のマイコントレーニングキットTK-80が発売され,ホビーとしてのマイコンブームのきっかけとなった.続いて同社は1979年Z80を搭載した8bitパソコンPC-8001を発売,当時のパソコンの代表機となった.その後,マイクロプロセッサーは8bitから16bit,さらに32bitへと進化し,大量データの高速処理が可能となった.こうした背景の下に,パソコンの利用形態はホビーからビジネスや科学分野へと拡大していった.この間約10年である3).
理学療法においてもパソコンはさまざまな用途に用いられ,今日では,パソコンの有用性を否定する者はいない.しかし,ハードウェアもさることながら,理学療法の特殊な分野に活用できるソフトウェアを市販品に求めることは容易ではなく,時にはソフトウェアの開発が必要となる.そこで,本稿ではまず,パソコン処理を行なうためのシステム開発の概要を述べ,次いで歩行分析に関したソフトウェア開発の可能性を例示し,最後にこの分野におけるパソコン活用の発展性を展望する.
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