病院の窓
ヘルスプランニングに思う—ソフトウェアの開発こそ急務
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.17
発行日 1977年12月1日
Published Date 1977/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206393
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交通と情報科学のめざましい進歩によって,世界は時間距離的にますます小さくなり,また資源,エネルギー,環境問題を契機として生態学的に"地球はひとつ"の理解が急速に拡がりつつある.加えて発展途上国の人口爆発,世界的な不況等によって南北問題は深刻の度を深めている.これらの動きは世界の保健問題にも鋭く反映し,今日WHOの最重点政策はプライマリ・ヘルスケアを焦点とするヘルスプランニング(以下HP)とヘルスマンパワーの開発を志向している.私は海軍軍医として約6年従軍し,復員後外科医から公衆衛生に転じ,その後30年を一貫して公衆衛生とくにcommunity health actionの立場からの実際活動,行政,研究および教育に取組んできた.このためWHOなどを通じて,世界各国の保健システムを見聞する機会に恵まれ,とりわけ最近の10年問はHPとヘルスマンパワー問題を主題として,各国を訪ね,あるいは国際的なワークショップやプロジェクトに参画する機会が多い.
HPについては,60年代半ばにWHOが大きくとりあげるようになって以来,客国において失敗を含む多くの経験が積まれており,これらについてのWHOや各国の刊行物はすでに多数に上っている.とりわけHPのテクノロジーについてはジョンス・ホプキンスのグループ等によって,優れた成果が世に問われている.いうまでもなくHPへのアプローチも,それぞれの国の社会経済と政治的な条件を反映して決して一様ではない.
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