とびら
一生懸命
小川 克巳
1
1熊本リハビリテーション学院
pp.663
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103357
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「一生懸命」ということばをふと広辞苑でひく気になった.その字だけを見てみると“一生命を懸ける”と読める,また「一所懸命」では“一つ所に同じように命を懸ける”と読める.広辞苑によると「一生懸命」は「一所懸命」の転であるとしている.引続きその項をひいてみると“①賜った一か所の領地を生命にかけて生活の頼みとすること.また,その領地.②物事を命がけですること.一生懸命,必死.”と記されていた.
教育という場に身を置いて,早や11年目を迎えた.無我夢中で過ごした日々から10年の区切りを一つ越え,少しは来し方を振り返る余裕もできた.“あのときああすれば良かった.いや,こうしたらもっと良かったかもしれない”と,そういう反省ばかりが心に浮かぶ.当時の,今よりももっと未熟な自分にしっかりとついてきてくれた学生たちが,今はそれぞれの職場の中で中堅あるいは責任者としてりっぱにその責任を果たしてくれている.新設の学校に新米の教官,学生たちも必死であったし,私自身も必死,であったと思う.昨年の学院祭で学生が職員の紹介をしたいのでと質問にきたがその際,好きなことばは?と聞かれて思わず「一生懸命」と答えた.
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