理学療法学科新入学生のための学生生活オリエンテーション
今の貴方が主人公
小嶋 裕
1
1高知リハビリテーション学院
pp.286-287
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103255
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Ⅰ.プロローグ
いま私の室の外では,学生たちが(秋の)文化祭の準備で忙しく走り回っています.この拙稿が目にふれるころには,新入学生の皆さんは意気揚々と青葉に囲まれた正門をくぐっていることでしょう.
私は約7年間の臨床経験後,教職に入り13年を迎えようとしています.振り返ってみると,教職に入った当時は,学生に随分と無理難題をぶつけました.それまでの臨床生活から一転して「教育」の場に身を置き,ある種の「気負い」を感じつつ,それまで経験した「臨床実習病院スーパーバイザー」的感覚で学生に接していました.臨床実習に出れば,「あれも必要,これも必要」とばかり,息せき切って学生に向かっていました.今思えば,当時の学生はさぞかし迷惑を被っただろうと反省もしております.私自身がそれまでに受けた理学療法教育は,「実践」重視であり,それを学生にも一方的かつ画一的に要求しすぎていた感がありました.
その後,教育活動について多少なりとも経験を積み思うことは,臨床の場で「患者さんから学ぶことが多い」ことと同じように,教育の場においても諸活動を通して「学生からフィードバックされることが多い」
ことも,数多く経験する事実であることなのです.言い換えれば,学生生活を送る上で,その根底にあるのは,掛け替えの無い,紛れも無い,貴方自身であり「今の貴方が主人公」だということです.
そこで,脇役の一人として,貴方がより良い学生生活を演じるための,私なりの幾つかのアドバイスをしてみたいと思います.
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