研究の頁
貴方の研究をよんで
木下 正一
pp.61-62
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200890
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骨盤位は胎位異常として頻度の最も高いものであるから,助産婦もこれにぶつかることはそう珍らしいことでないと思われる.ところが,骨盤位分娩は私どもにとつてあまり嬉しいものでない.新産児が窒息状態で生れたり,時には既に死産児として生れることもある.ことに初産婦の場合に心配が大きい.分娩中に必要に迫られて牽出手術を行わなければならぬこともある.そうすれば毋児に対する障害も当然その機会が多くなるわけである.妊婦が骨盤位の診断を下された時には,妊婦は上記のような詳しい知識は持つていないけれど,やはり大ていは非常に心配する.何とかして正しい胎位に直せないでしようかと懇請したりする.
胎児は自己回転ということを自然に営むから,大ていは分娩の時までに正しい胎位になつてくれるものです.自然に正しい位置にならないようなのは,無理に外力を加えて回転術などを行つても,うまく行かないか,或は直つてもまたすぐ「さかご」にもどつてしまうか,或はあんまり無理な外力を加えれば毋児に危害を及ぼすような逆効果だけしか期待できないのだから,自然のままにまかせておくのが,一番賢い方法ですよ,などと色々と説明を試みてみても,心配した妊婦は何とかして正しい胎位にしてもらえないかと繰返し要求したりする.
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