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特集 運動療法
Ⅱ:運動療法の種類と適応
基本姿勢・動作と運動療法
Therapeutic Exercise, Ⅱ; Types and Indications: Functional Activities and Kinesitherapy
半田 健壽
1
Taketoshi HANDA
1
1東北大学医学部附属病院鳴子分院
1Narugo Branch Hospital, Tohoku University School of Medicine.
pp.176-181
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103224
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Ⅰ.初めに
人間が日常生活活動に用いている起居・移動動作は運動障害克服のための獲得目標でもあり,運動療法の手段としても利用されている.これらの動作をfunctional activitiesと呼ぶ1).今後論議の余地もあろうと思うが,この起居・移動動作,およびそのとき用いる各種の姿勢・単位動作を仮に基本姿勢・動作と命名して本題に入ろう.
運動療法は人間の運動を研究する運動学を主な理論的背景とし,人間の運動を治療手段として用いたものである.
治療手技に用いる身体運動は幾つもの側面や意味をもつ.一つの身体運動は階層構造をもつ運動-動作-行為の三つの側面でとらえられる.治療に用いられる身体運動をどの側面でとらえるかは,対象とする問題と基礎理論に依存することになる(表1)2).
人間が日常生活活動に用いている姿勢・起居・移動動作も何に利用するのか,何を対象とするのかにより,運動療法のアプローチが異なる.例えば,physical exerciseでは,体力維持に立ち上がり動作や歩行を用いる.しかし,もっとも基本姿勢・動作を治療体系に取り込んでいるのは,中枢神経疾患を対象にしたアプローチにおいてである3~6).
本章では,中枢神経疾患を対象に,日常生活活動の中の立ち上がり,歩行などの姿勢・運動・動作,およびその障害をどのようにとらえていくのか,どのように治療を進めるのかを解説していく.
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