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特集 ハイリスク・体力消耗状態
特集に当たって―ハイリスク・体力消耗状態の概念とそのリハビリテーションの基本的な考えかたについて
Severe Deconditioning due to High-Risk Diseases: Introduction; The Concept and Principles of Rehabilitation of “Severe Deconditioning due to High-Risk Diseases”
上田 敏
1
Satoshi UEDA
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
pp.504-505
発行日 1990年8月15日
Published Date 1990/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103063
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その概念について
「ハイリスク・体力消耗状態」とは「重症ハイリスク疾患による全身体力消耗状態」をやや簡略にしたものである1).この場合「重症ハイリスク疾患」あるいは略して「ハイリスク」とは疾患レベルの特徴を規定することばであり,「全身体力消耗状態」あるいは「体力消耗状態」とは障害レベルの特徴,すなわち主たる機能障害が麻痺や拘縮などではなく,「体力」の著しい低下にあることを示すことばである.すなわちこれは疾患と障害の両面から規定されている概念であり,本来一つのことばでは言い表せないものと言ってよい.
この場合の「ハイリスク」とは従来のリハビリテーション医療の場で言われてきたリスクとは桁違いに高いものであり,生命の危険と紙一重とも言うべき高度の危険をはらんだ状態である.疾患の種類から言えば,癌,それも全身各所に転移して多彩な症状を示しているもの,あるいは白血病,リンパ腫のような全身性の悪性腫瘍で同じく多様な症状を示しているものがその典型である.それに次いで心血管系の手術直後の状態,重症の心不全,腎不全,肝不全などで同じく生命の危険の大きいもの,その他の重症疾患が含まれる.
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