特集 がん患者のリハビリテーションと理学療法
がん患者の体力消耗状態に対する理学療法の進め方
額田 愛子
1
Aiko Nukada
1
1広島大学病院診療支援部リハビリテーション部門
pp.383-389
発行日 2011年5月15日
Published Date 2011/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101947
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はじめに
がんは2~3人に1人がかかる身近な病気であり,現在でも死亡率の第1位である.がんに関する予防と治療の研究は日進月歩で,手術療法,化学療法,放射線療法を組み合わせた集学的治療の進歩は治癒率や生存率を年々上昇させてきた.それとともに,がんそのものによる体力低下や治療に伴う二次的障害による運動機能や生活機能の低下,つまりがん患者の生活の質(QOL)についても関心が高まっている.日常生活活動(ADL)は終末期まで比較的保たれ,死亡の直前までいろいろなことが患者自身で行えることも多い.亡くなる2週くらい前までは自力移動が可能で,その後徐々に各動作に障害が出現する.やがて移動や排便,排尿が死亡の10日くらい前からできなくなり,食事や排泄は1週間くらい前から,水分摂取や会話・応答は2~3日前からできなくなってくる1).今年,さらなるがんの治療中,治療後のQOL維持・改善が望まれる中,ますます多様化しているがん治療とその副作用,二次的障害に対し知識を深めるとともに,他職種との連携によって治療中から終末期までのすべての病期で適切な関わりを行える療法士の育成が必要である2,3).
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