プログレス
小児の難治性てんかんの治療
藤原 建樹
1
1国立療養所静岡東病院(てんかんセンター)
pp.125
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102714
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難治てんかんの治療を論ずる前に,次の事項を銘記しておく必要がある.すなわち日常診療場面で難治に経過していた症例を診た場合,その症例が真の難治てんかんであるか否かの見極めが肝要であるという事実である.
ぼんやりとなり口もとをペチャペチャさせる非痙攣発作が多年にわたり,治療に抵抗していた一少女を例にとる.欠神発作とされ抗欠神剤のエトサクシミドを十分量投与されていたがまったく無反応であった.ところが正しい発作型は側頭葉起源の複雑部分発作であり,抗欠神剤を部分発作に有効なフェニトインに変えたところ発作は著明に減少した.皮質焦点起源の非痙攣発作を全般性の非痙攣発作である欠神発作と誤認した結果,適剤の選択を誤ったのである.見かけの難治てんかんの好個の例である.
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